ゲートを通過したあと、寺院の中へと向かった。その寺院は天井がとても高くそしてなによりもその空気感に驚いた。冷たく張りつめた緊張感と人々の優しさに包まれたような暖かさも兼ね備えたそんな空気だった。
サン・ピエトロ寺院は世界に約11億人いると言われているカトリックの総本山。
324年に聖ペテロの墓の上に創設され、歴代の教皇が葬られている場所だ。その他イタリア・ルネッサンスを代表する建築物としても名高い。
私は奈良の天理にある天理教の総本山へは行った事があるが、日本の木の文化とは真逆の石の文化でのこの建物はとても魅力的だった。
悩んだ時に椅子に腰掛け絵を眺めながらただそこにいるだけで天からの声でも聞こえてきそうだった。
寺院をでて外を見ると先程より雨が強くなっているではないか。このままではどうしようもないと思い、私は諦めて傘を買う事にした。ダウンが濡れてしまってはこれからの旅にも支障がでるし、なにより乾かすのが面倒だった。観光スポットでは黒人がすぐに傘を売りにくる。天気にあわせて違う物を販売していて、晴れていればおもちゃ、雨が降れば傘。
1人の黒人が声をかけてきた。
「傘いらないか?」
「いくら?」
「5ユーロ。」
「高すぎる。3ユーロ。」
「嫌。だめだ。4ユーロ。」
「じゃ、いい。」
「わかった!3ユーロでいい!」
といったやりとりで値切る事に成功した。それでも高いと感じていたが、私もなくては困ったためその値段で納得した。そして今にも壊れそうな傘を使い、雨の街を歩きだした。
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