2010年4月2日金曜日

オレンジ #20

私は注文した食事をいただき、お腹いっぱいになった。その後ビールを飲み続けていてナオさんを待っていたが次々お客さんが入ってくる。
忙しそうだったため私は申し訳なくなり、また出直しますと先程席に案内してくれた女性に伝えると「大丈夫ですよ」と奥の厨房へと通してくれた。
そこで遂にナオさんと再会する事ができた。
ナオさんは見かけからとても男気のある方で「よくこんな遠い所まで来たな。」と出迎えてくれた。厨房で仕事着を着てラーメンを作っていたから男気の雰囲気が増して見えたのもあるだろう。
「ビールでも飲んでいけよ。」と厨房の横の席に座らせていただき、しばらくするとビールがでてきた。このビールも今回始めてだった。モレッティというビールでイタリアではよくみかけるビールのようだった。
ナオさんは仕事をしながら私に話しかけてくれた。とても忙しそうで仕事の邪魔をしているんではないかと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。こんな初めて会ったわけもわからないやつが仕事中に厨房の横でビール飲みながら邪魔をしているのもどうかと思っていた。
私は連日の旅の緊張のせいか私は少し疲れていた。
仕事の邪魔をしないように仕事風景を眺めながらビールを何杯か飲んだ後、ナオさんがふと声をかけてきた。
「ワイン好き?」
「ワインはあまり飲まないですね。ビールのほうが好きです。」
「そうか、じゃあ仕事が終わったらビールのうまい店に連れてってやるよ。」
「是非連れて行ってください!」
お店が閉店するまで時間があったため私は疲れを癒そうと思い一度部屋に戻り仮眠をとる事にした。仮眠が本当の眠りにならないようにかなり気を張っていた。

私は時間通り起き再度お店へと向かった。到着するとシャッターが閉まっていた。私は閉店時間を間違ってしまったのかもしれないと焦りシャッターの隙間を覗いたりしていた。周りから見たらただの不審者だ。
隙間もあまりなく外から「ナオさん!!」と呼んでいるとシャッターを開けてくれた。
時間は間違っていなかったようだ。
せっかく誘っていただいたのに時間を間違えては話にならない。ホッとした瞬間だった。

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